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肥料を選ぶときの基準になるともいえる、「肥料の種類~有機質肥料と無機質肥料~」についてご紹介したいと思います。
最近すっかりおなじみの言葉となった「有機野菜」などに使われる、「有機」。
今回の記事では、この「有機」という言葉の付いた「有機質肥料」とそうでない「無機質肥料」を中心に見ていきたいと思います。
 

目次
▼1.違いをきちんと理解しよう!有機質肥料と無機質肥料とは
 ・肥料の分類
 ・有機化成肥料と化成肥料
 ・有機質肥料の特徴・役割
 ・化学肥料の特徴・役割
 ・有機質肥料を自分で購入するときは
 ・元肥と追肥
▼2.実はいろいろ種類がある!
 ・有機質肥料の種類
▼3.おまけ話
 ・ところで有機栽培って何?

1.違いをきちんと理解しよう!有機質肥料と無機質肥料とは




 
【肥料の分類】

肥料は大きく分けると、「有機質肥料」と「無機質肥料」の2種類に分けられます。
有機質肥料とは、動物由来または植物由来の肥料のことを指します。
一方、無機質肥料とは、動物や植物とは関係の無い自然界に存在する鉱物や化学的に合成して作られた肥料のことを指します。
一般には、「化学肥料」と呼ばれることが多いです。


 
【有機化成肥料と化成肥料】

さて、これから有機質肥料と化学肥料(無機質肥料)について詳しくご紹介していく前に、
少しだけ複雑な話をさせていただきたいと思います。

先程、無機質肥料は化学肥料とも呼ばれると説明したのですが、
良く似た「化成肥料」という言葉を聞いたことはありませんか?
この二つの言葉、似ていますが全く別の意味を持っています。

「有機質肥料」と「化学肥料(無機質肥料)」は『由来する原料』の区分なのですが、
「化成肥料」は『製造方法』による区分となります。

肥料の製造方法にはいくつもありますが、その代表的なものに「配合肥料」と「化成肥料」があります。

「配合肥料」とは2種類以上の原料をただ混ぜ合わせただけの肥料のことを言います。
「化成肥料」とは、2種類以上の原料を混ぜた「配合肥料」を、
更に化学的または物理的工程を経て粒状に加工(造粒)された肥料
のことを言います。

つまり、原料が「有機質肥料」でも「化学肥料」でも、球の形をした肥料やボーロ、ラムネのような形をした肥料等、
工場で手を加えて成形された肥料は全て「化成肥料」と呼ばれるのです。

となると、化成肥料には有機質肥料と化学肥料の区別がないの?と思った方、なかなか鋭いですね。
そこで、原料に有機質肥料を使用して造粒した肥料のことを区別するために、
「有機化成肥料」という言葉があります。配合肥料も「有機配合肥料」という言葉で区別しています。
ぜひ覚えておいてくださいね!
 
【有機質肥料の特徴・役割】

有機質肥料と化学肥料では、肥料成分が植物に吸収されるまでにかかる時間が異なります。
吸収されるまでのスピードに違いがある理由は、
肥料として使われる成分(窒素・リン酸・カリ)が、どのような形で含まれているかが大きく関わっています。

先程、有機質肥料は「動物由来または植物由来」と説明しました。
有機質肥料に含まれる肥料成分は、植物が吸収しにくい形になっているため、
土の中の微生物に分解されて植物が吸収しやすい形に変わるのを待たなくてはなりません。

そのため、肥料の効果がゆっくりと表れ、長くじっくりと効くのです。
更に、土の中の微生物が肥料成分を分解することから、土壌改良の効果があり、
栽培のしやすいふかふかな土の構造(団粒構造)へと促してくれます。

この「効果がゆっくりと表れじっくりと効く」、「栽培のしやすい土へと促す」ことから、
有機質肥料は家庭菜園だと元肥として使われることが多いです。

一方で、有機質肥料は微生物の分解状況によって効果の現れ方が変わるため、使用量の調整が難しい肥料ともいえます。
さらに、原料そのものに特有の臭いがあり、また肥料成分の分解段階でガスが発生するため、
においがきつく感じることがあります。お住まいがマンションの方などは、臭い問題には注意してくださいね。
 
【化学肥料の特徴・役割】

一方、化学肥料ですが有機質肥料と異なり、植物が吸収しやすい形で肥料成分が含まれているため、
微生物による分解を待つ必要がありません。

そのため、一般的には速効性が高く持続性は低いと言えます。
また、微生物による分解が行われないため、通常は臭いやガスが発生することもありません。

しかし、化成肥料を使用し続けると、土が持つ緩衝作用(水分やpH、イオン濃度、生物などの状態を一定に保つ働き)が
弱まり、硬く締まった土になってしまいます。

更に、過剰使用による肥料やけ(根の機能が壊れ、しおれたり枯れたりすること)が起きやすくなってしまいます。
 
【有機質肥料を自分で購入するときは】

さて、有機質肥料と化成肥料の違いをここまで紹介してきました。
自分で肥料を買うとき、今度から肥料成分にもこだわってみようと思った方もいらっしゃるかもしれません。

ホームセンター等で肥料のパッケージを見ると、「有機由来100%」や「有機分含有」等と
書かれているものを見かけたことのある方がいらっしゃると思います。

これらの言葉が書かれている肥料は、有機入り化成に分類されます。
一方で、特に記載されていないものや「速効性」等と書かれているものは、化学肥料であることが多いです。

「せっかく自分で育てるのだから、肥料にもこだわってみたい!」という方は、
肥料を購入する際にパッケージの表記に注意して選んでみるといいかもしれません。
 
【元肥と追肥】

元肥(もとごえ)とは、植物を植え付ける前の土に施す肥料のことで、
肥料の三要素である「窒素・リン酸・カリ」をバランスよく含んでいるものを使うことが多いです。

植物の発育を止めないために施す肥料のため、有機質肥料のように、
効果がゆっくりと表れて長くじっくりと効く肥料(緩効性肥料といいます)が使われることが多いです。

元肥を施す時は、地面に撒いた後よく耕して土になじませてください。種まきや植つけは施肥から1~2週間位空けましょう。

過剰に施していた場合や、よく耕していなかった場合、肥料が土になじむ前に種まきや植つけを行った場合、
植物の根に肥料が当たってしまい根を痛めて枯れさせてしまう可能性があります。
 
追肥(おいごえ・ついひ)とは、作物の植付け後、元肥の効果が薄れてきたころに施す肥料のことです。
元肥と異なり、生育中の作物に早急な効果が求められるため、速効性のある化学肥料液体肥料が使われることが多いです。

追肥を与える際は、作物が吸収しやすいように根の先の方に施すと良いです。
また、作物によっては追肥の必要がないものもありますので、必ず作物ごとの育て方を確認してください。
 
☆コラム:”栽培のしやすい土”とは
野菜作りにとって理想的な土はどんな土ですか?と聞かれたら、皆さまはどう答えますか?
「水はけの良い土」「ふかふかの土」「ミミズが住んでいる土」等、色々な答えがあると思います。

実は、これらの答えは全てが正解で、「水はけ、保水性ともによく、通気性があってふかふかとした土」が理想と言われ、
この状態の土を”団粒構造の土”と呼んでいます。

団粒構造の土かどうかを確認するには、ご自宅で実際栽培に使用している土をご用意いただければ簡単に知ることができます。
手のひらに土を取り、軽く握って手を開いた後の土の状態を見てください。

だんご状になっても指先で軽く押すとすぐに崩れる土は良い土、
完全にだんご状になる土は粘土質で水はけと通気性が悪い土、
握ってもさらさらと崩れてしまう土は砂質で水分や肥料分を保持しにくい土と言えます。

2. 実はいろいろ種類がある!



動物由来または植物由来を原料とした有機質肥料。その代表的なものを紹介します。
 
【有機質肥料の種類】
 
  • 油粕類
菜種や大豆などの油を搾った後に出る、搾りかすを使用しており、
肥料の3要素をすべて含んでいますが、窒素の含有量が最も多い肥料です。

発酵が不十分な油粕は、発酵時に発生するガスで植物の根を傷める可能性がありますので、
植物に吸収されやすい発酵済みの油粕がおススメです。

土の中に深く埋めてゆっくりと分解させる元肥としてよく使われるほか、
土壌の微生物を増やし、土壌の団粒化を促す土壌改良材としても優れています。
 
  • 魚粉類
魚の水分と脂肪分を抜いて作られた魚かすの肥料は、
窒素とリン酸を多く含んでいて野菜の味を良くする効果があります。

有機質肥料の中では速効性が高いため、元肥だけでなく追肥としても使われます。
土の表面に撒くと、鳥や小動物、虫が寄ってくるため、必ず土に混ぜて使用するようにしてください。
 
  • 骨粉質類
豚や鶏の骨を高温で蒸してから乾燥させ、粉砕した肥料で、主にリン酸を多く含みます
トマトやパプリカなどの実物野菜を栽培する際に、元肥に混ぜるほか、追肥としても使います。

効果は非常にゆっくりと表れ、長持ちすることが特徴です。
購入する際は、病気にかかった家畜の骨が使用されていないことが明記されているか必ず確認するようにしてください。
 
  • 発酵鶏糞
鶏の糞を乾燥・発酵させた肥料で、肥料の3要素がバランスよく含まれているほか、
カルシウムやマグネシウムなども豊富に含まれていることが特徴です。

アルカリ性になりやすいため、酸性を好む植物には向いていません。
比較的価格が安く、また扱いやすいため広く普及していますが、
速効的な効果があるため撒き過ぎには注意してください。
 
  • 草木灰
名前の通り草や木を燃やしてできた灰で、カリウムを多く含むほか石灰とリン酸も含んでいます
速効性肥料のため元肥・追肥どちらにも使えますが、
窒素がほとんどないため油粕と併用する等不足分を補いながら使うといいでしょう。
土に混ぜすぎるとアルカリ性に傾いてしまうため、使用量は守ってください。
 
  • 米ぬか
玄米を精米する際に出る粉で、肥料の3要素のほかビタミンミネラル糖分を豊富に含んでいます。
肥料としてはゆっくりと効果が表れ、土とよく混ぜておくと微生物を活性化させるほか、
センチュウの被害を抑制する土壌改良資材としての効果もあります。
 

3.おまけ話



 
【ところで有機栽培って何?】

おしゃれなカフェやレストランでよく見かける有機栽培のお野菜。
最近では、身近なスーパー等でも有機野菜専用コーナーが設置され、徐々に身近な存在になってきているなと感じます。

ところでこの有機野菜ですが、「有機栽培の野菜」として販売するためには
かなり厳しい審査を受けていることをご存知ですか?

有機栽培野菜として売られているものには、「有機JAS」と書かれたマークが貼り付けられています。
この有機JASマークは、生産者がJAS規格(生鮮食品や加工食品の品質について国が定めた規格)に合った生産を行っていることを、
登録認証機関が承認することで初めて使うことを許されます。

そして、このマークをもらうためには、種まき・植えつけの前2年以上(多年草の場合は収穫前3年以上)、
原則として化学肥料や化学農薬を使っていないこと、堆肥を使用した土作りを行っていること、
遺伝子組み換えの種や苗を使用していないこと、などの規定があります。

また、このマークは一度認証してもらえれば永久に継続するわけではなく、
きちんと規定を守っているかのチェックも年に一度行われます。

有機JAS認定されている生産者の方は、正真正銘の有機野菜を私たちに届けるため、
この規定を守り、毎日野菜と向き合って、時間も手間もたっぷりとかけて育ててくださっています。

身近な存在になりつつある「有機栽培の野菜」は、販売されるまでに生産者の方のたくさんの苦労が詰まっています。
有機栽培の野菜を見かけたときには、そんなことも思い出してみてくださいね。
(家庭菜園で有機栽培に挑戦される方、これを読んでも諦めないで、ぜひチャレンジしてくださいね!)