農業用肥料PRODUCTS



あ行

秋落ち水田アキオチスイデン
収穫間際になって、急激に水稲の下葉が枯れ上がり、穂も成長せず収量が少なくなるという現象が起こる水田のこと。
硫化水素の発生により水稲根に障害を起こすことが原因です。遊離酸化鉄の溶脱が進んだ老朽化水田で起こります。
アルカリ分アルカリブン
肥料中に含まれる可溶性石灰の量、または可溶性石灰と可溶性苦土の酸化カルシウムに換算された量の合計量のこと。
塩基置換容量(CEC)エンキチカンヨウリョウ
土壌が陽イオン(塩基)を保持できる最大量を示す値のこと。保肥力の指標であり、陽イオン交換容量ともいいます。
塩基置換容量が大きい程、保肥力が高いといえます。土壌中に有機物や腐植が多いと、塩基置換容量は大きくなります。


か行

過繁茂カハンモ
栄養成長ばかりが進んでいる状態のこと。
肥料、特に窒素質肥料を必要以上に与えると、栄養成長(葉、茎、枝の成長)が続き生殖成長(花、種子、果実の生産)への転換ができなくなってしまいます。この状態を過繁茂と呼びます。
加里カリ
植物が最も必要とする栄養素である、肥料三要素のひとつ。
加里はほとんどのものが水に溶け、容易に作物に吸収利用されます。有機質の形のものもありますが、これも速やかに微生物に分解されるため速効性があります。
加里が過剰だと苦土欠乏を引き起こすため、施設栽培や多量のきゅう肥の施用には注意が必要です。
はたらき : 植物体中のでん粉、糖分、たん白質の生成を助け、体内での移動や蓄積にも関与している成分です。加里の働きには、(1)開花結実の促進 (2)日照不足時に生育を促す (3)水分の蒸散作用を調節 (4)根の発育促進などがあります。窒素に次いで植物の吸収量の多い養分です。
キレートキレート
一般に多座配位子が同一金属に配位し、環状構造を有する化合物のこと。
キレートの形になると、沈殿が防止され金属の溶解性が高まります。
液肥などで利用される他、土壌中では腐植酸によるキレート効果で成分を吸収しやすくなるとともに、肥料効果が高まるといわれています。


さ行

側条施肥ソクジョウセヒ
施肥方法のひとつ。
肥料を苗の根の近くに施すことにより、初期の発育を活発にし、肥料の流亡を抑えます。
機械施肥によく用いられ、特に水稲で省力、施肥量低減を目的に近年増加している施肥方法です。
速効性肥料ソッコウセイヒリョウ
いわゆる速ぎきの肥料で、土壌に施したとき速やかに作物に吸収利用され、肥効を現す肥料のこと。
速効性肥料の大部分は水溶性で、通常の無機質肥料(化学肥料)はほとんどこれに属します。


た行

炭素率/C/N比タンソリツ/シーエヌヒ
土壌や有機物中の炭素(C)と窒素(N)の比率のこと。
炭素率は有機物の腐熟の度合いを示し、未熟のものは高く、十分に分解が進んだものは低くなります。
炭素率が20以上の有機物を施用すると、微生物と植物の間で窒素の取り合いが起こり、植物が窒素飢餓を起こす可能性があるので注意が必要です。
団粒構造ダンリュウコウゾウ
土壌の単一粒子が集まって大きな粒子の集合体になっている構造のこと。
団粒は丸味を帯びており、有機物・石灰の多い表層土に見られます。
団粒の発達した土壌はいわゆるふかふかの土で、孔げきが多く、保水力に優れ、空気の流通もよい、植物の生育にとって好ましいものです。強く圧すると崩れてしまうため、注意を要します。
窒素チッソ
植物が最も必要とする栄養素である、肥料三要素のひとつ。
窒素は有機質、尿素、アンモニア、硝酸などの形で土壌に施されます。
植物は低分子のアミノ酸なども吸収できますが、ほとんどはアンモニア、硝酸の形で窒素を吸収しています。
硝酸態窒素は、低温でも吸収されやすい、加里、カルシウム、マグネシウムなどとの拮抗作用がないなどの特徴を持っています。
アンモニア態窒素は、土壌からの流亡が少ない、硝酸態窒素に比べ吸湿性が低く扱いやすいなどの特徴があります。
はたらき:植物の細胞原形質の主成分であるたん白質の構成成分で、植物の生育にとって最も重要な要素です。(1)細胞の分裂や増殖 (2)根、茎、葉の生育を促す (3)炭酸同化作用を盛んにする などのはたらきがあります。過剰に施すと、過繁茂を引き起こします。
土壌の三相分布ドジョウのサンソウブンプ
土壌は、固相、液相、気相の三つの相から成り立っており、各相がそれぞれ占める割合のこと。
作物の良好な生長には、土壌粒子の間に、水分と空気がバランス良く分布していることが必要です。有機質を施用した土壌では団粒構造が発達し、気相、液相の割合が増えてきます。また、たい肥やピートモスなども通気性や保水力を高め、良好な三相分布の形成に寄与しています。
土壌微生物ドジョウビセイブツ
土壌中に生息する微生物の総称のこと。
大きく分けて(1)植物系(細菌、放線菌、糸状菌)(2)動物系(原生動物、線虫類)があります。
微生物は、土壌中の有機質肥料などを分解して腐植を作り、また窒素成分をアンモニアあるいは硝酸態にする他、ケイ素、リン、アルミニウム、マグネシウム、カリウム等も植物が吸収できるような形に変えるはたらきをします。
また土に団粒構造を作るのにも重要な役目をしています。


な行

流し込み施肥ナガシコミセヒ
水田の水口から灌漑水と一緒に液体肥料や専用の固体肥料を流し込む追肥方法のこと。
その年の気象や水稲の生育状態に応じて施肥することができ、機械を使うことなく作業できるため、省力・低コスト施肥技術として利用されています。
関連リンク


は行

pHピーエッチ
酸度(水素イオン濃度)のこと。
水素の数が多いほど酸性、少ないほどアルカリ性になります。pH7(中性)を境に、数値が小さくなる程強酸性、数値が大きくなる程強アルカリ性といいます。
肥料では、硫酸や硝酸などは酸性を呈し、カルシウムやマグネシウムなどではアルカリ性を呈します。土壌や植物は極端な酸性やアルカリ性を嫌がり、微酸性~中性を好みます。
微生物資材ビセイブツシザイ
微生物を含有し、微生物の機能を利用して作物の生育や土壌環境の改善・向上を目的として使用される土壌改良資材のこと。
「土壌などに施用された場合に、表示された特定含有微生物の活性により、用途に記載された効果をもたらし、最終的に植物栽培に資する効果を示す資材」と定義されています。(微生物を利用した農業資材の現状と将来, 1996, 日本土壌肥料学会公開シンポジウム)
政令指定を受けている「VA菌根菌」の他、堆肥化の促進、土壌団粒形成、窒素固定、リンの可溶化、土壌病害虫の軽減、植物ホルモン、ビタミンの生成など各種の効果があるとされる資材が数多く市販されています。
肥料の三要素ヒリョウのサンヨウソ
窒素(N)、リン酸(P2O5)、加里(K2O)を肥料の三要素といいます。
窒素、リン酸、加里は、ほとんどの植物で吸収量が多く、この内どれかひとつが欠けると植物の生育は著しく劣ります。そのため、肥料はこの三要素を中心に成分の構成がなされています。
微量要素ビリョウヨウソ
植物の要求量は少ないが、吸収量が極度に少なくなると、その欠乏症におかされる成分で、マンガン、ホウ素、ヨウ素、銅、亜鉛、コバルト、モリブデン、ニッケルなどのこと。
しかしこれらの成分は、ある量を越すと、逆に植物に害を与えてしまいます。
微量要素の欠乏症が生じたときは、葉面散布でも対応可能な場合が多くあります。
腐植酸フショクサン
土壌に含まれる黒褐色の酸性物質のこと。
土壌有機物の代表で、その形は無定形のものから中高分子までと幅広く、炭素50~60%、水素3~6%、窒素1.5~6%で、残りはほとんど酸素で占められています。
主に土壌改良資材として保肥力(養分が流れないように掴まえておく力、または量)を高める効果があります。
人工的には、石炭化の進んだ“亜炭”や“褐炭”等を硝酸で分解し、石灰や苦土を加え、中和して作られたものがありますが、これは腐植酸ではなく腐植酸質系物質と呼びます。
穂肥ホゴエ
水稲の栽培において、出穂前約25日ころに施用する肥料のこと。
ひとつの穂につく実の数を多くし、無効分けつを減少させ、止め葉(穂が出る前に展開する最後の葉)の生長を良くする、捻実を良くするなどの効果があります。


ま行

無機化ムキカ
有機態の窒素が、微生物などにより無機態に分解されること。
植物は無機態になった窒素を吸収して利用します。無機化には有機態窒素がアンモニアに分解されるアンモニア化成と、アンモニアが亜硝酸を経て硝酸に変化する硝酸化成があります。
アンモニアから亜硝酸への変化には亜硝酸菌(ニトロソモナス)、亜硝酸から硝酸への変化には硝酸菌(ニトロソバクター)が関与しています。
無効分けつ(無効分げつ)ムコウブンケツ(ムコウブンゲツ)
分けつ(分げつ)して茎となっても結実しない分げつのこと。
稲は分けつ(分げつ)(茎の本数の増加)しながら生育しますが、分けつが多すぎると実がつかない茎が多くなってしまいます。


や行

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ら行

リン酸リンサン
植物が最も必要とする栄養素である、肥料三要素のひとつ。
植物に利用可能なリン酸には有機質の形、弱い酸に溶ける形(く溶性)、水に溶ける形(水溶性)などがありますが、植物に吸収されるには、溶解してイオンの形になる必要があります。有機質は微生物分解により、く溶性は植物の根から分泌される有機酸によって溶解することによりイオン化します。
リン酸の固定リンサンのコテイ
水溶性のリン酸が土壌に固定され、難溶性となる現象のこと。
リン酸の固定には鉄、アルミニウム、カルシウムとの化合による沈殿形成、土壌粒子表面における水酸基・ケイ酸イオンとの交換による吸収などがあります。


わ行

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